白き世界  4

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 軟膏しかないからと、イタチの持っていたそれを尻の穴に何度も塗られ、そのたびにヒクヒクと入り口が動く。

 サスケはイタチの頭にしがみ付き、震える躰を抑えようと必死になった。
 しかし、どうしても躰が跳ねてしまう。


「ん、やぁ…あ」
「サスケ…」
「ぁ、やだ兄さん…中っ、あ、ぅん…っ」


 ツプ…と微かな音を立てて、イタチの指が入ってきた。
 その瞬間、広げられた穴から背筋に掛けて、ぞくりとした悪寒が走り抜ける。

 躰が大きく震える。


「痛い、か?」


 頬をなぞる優しい唇から発せられる柔らかな声に、サスケは苦しげに胸を上下させながら、瞑っていた眼を開けた。

 涙に濡れてぼやけた視界の中、淡い月光を浴びた漆黒の双眸を見つける。
 艶やかな光を帯びて深い色合いを放つイタチの眼を捕えた途端、視線を外せなくなる。

 唇と唇を合わせられても、眼は閉じる事無く互いの視線が絡み合った。


「ん……」


 じわりと伝わってくる兄の熱は心地良く、全身が包まれるような錯覚がする。

 じわり、じわり。

 中に埋められている指に慣れた穴が、時折きゅっと指を強く締め付けてしまい、居たたまれなさに頬が紅潮した。
 施される愛撫に感じているのだ、躰が。
 気持ち良くて、しかしそれをイタチに悟られてしまうのがどうにも恥ずかしい。

 こんな場所を弄られて感じているなんて、男として情けなくないか。
 まだ八歳で子供なのかもしれないが、サスケは立派な男だ。
 プライドだって既に持ち合わせている。

 だがそんなサスケの戸惑いを余所に、合わせていた唇が離れていくと、イタチはふわりと笑みを浮かべた。
 綺麗な笑みに、サスケは眼を細める。


「サスケ、愛してる」
「兄さ…ぁ、」


 囁きと共に胎内に入っていた指を小刻みに動かされ、サスケはまたイタチの頭にしがみついた。
 軟膏を塗ったせいなのか、中からクチクチと卑猥な音が鳴る。

 そんな排泄するような汚い所に指を入れられて解されて、広げられて。
 情けないし、恥ずかしいし、けれども腰が勝手に揺れていく。
 歯を食い縛っても、咽から喘ぎが漏れてくる。


「う、んっ…んんっ、うく……ぅ、あはっ……ぅあ、あ!?」


 ビクン、と。
 大きく躰が撓る程の刺激が訪れ、サスケは我慢していた声を上げてしまった。


「ひぁ、あ。やだ、やだっ…そこ、あぅっ」


 く…と、ある一カ所を押されると、抑えようもない悦楽が沸き上がってくる。
 甘い悲鳴が零れる。

 感じる場所を柔らかく押され、少し力を抜かれて、くんっとまた押されて。
 ガクガクと足が震えて、力が入らずに上体が倒れそうになった。

 それがまた中の指をより深く受け止めるようになり、掛け巡る快感に堪らず弓形に躰を反らし、嬌声を上げる。

 イタチは震えるサスケの腰をしっかりと抱き、剥き出しの乳首にまた舌を這わしてきた。
 先程から弄られていた乳首は相変わらずツンと立ち上がり、舐められてテラテラと光を帯びる。
 胸からも快楽が沸き上がり、それ以上に胎内からブワッ、ブワッと波のような愉悦が襲い掛かり、躰から脳までが痺れる。


「サスケ、ほら。わかるか?中からも漏れてきている。トロトロだ」
「やだ、…や、あ、兄さん…言わない、で……あぁっ、あ、」


 胎内を掻き混ぜる指はいつの間にか二本に増え、ぐちゅぐちゅと艶めかしい音が辺りに響いていた。
 しかも中から分泌された腸液は、何も身に付けていない尻から太股へと伝い落ちていく。
 窄まっていた筈の穴の入り口が、指を動かされるたびに隙間が生じているのだろうか?
 ヒクヒクと収縮するそこは、まるでイタチの指を咥えこんでいるみたいだった。

 自分の躰が全く自分に意にならない状況に、情けなさ過ぎてボロボロと涙が零れる。


「ぅう…あ、あひっ…も、やだぁっ!兄さん、止め、あぁ、あっ!」
「サスケ、もう少し我慢してくれ。俺はお前を傷つけたくないんだ」
「ひ、ひ…、う…あんっ、あ、兄さっ」


 イヤイヤと首を横に振り、サスケはイタチの愛撫から逃げようと身を捩った。
 このままでは、また先程のように可笑しくなってしまう。

 閉じる事が出来無くなってしまった口からは唾液が流れて、顎に伝う。
 汗も酷く掻いていた。

 中から熱くて、そのまま溶けてしまいそうだ。

 はっ、はっ、と短い呼吸を繰り返し咽び泣くサスケに、イタチが囁いてきた。


「…大丈夫だからな」


 ちゅっと音を立てて乳首から離れていったイタチの唇を、サスケは濡れた視界の中でぼんやり見つめた。
 胎内を掻き回していた指が引き抜かれた瞬間、咥えていたものが無くなった穴が一気に窄まり、背筋を走っていった悪寒にブルリと躰が震える。

 イタチに何を言われたのか、頭が働かなくて理解出来ていなかった。
 ただ、ようやく終わったのかと。

 成すがままに動かされ、気付けばまた躰が反転している状況になっていた。

 焚き火の炎は、先程よりも弱まっていた。
 集めた木が全て燃えようとしているのだろう、闇夜の中でユラユラと揺れる様は、酷く儚い。

 そう認識した途端、背にいるイタチに腰を引き寄せられて、サスケはまた彼の足の間に座らされた。
 だが。

 ――ずぐんっ。

 と、訪れた強烈な衝撃に、サスケは躰を撓らせながら眼を大きく見開き、咽を引き攣らせた。


「ひぃっ!?い、ぃ…、…ひ、ひぅぅっ!」


 何かが埋まっている。
 腹の奥まで。

 穴がギチギチと音が鳴る程いっぱいに広げられ、細い直腸を割り、尾てい骨の間を突き抜け。
 臍の辺りまで埋められている感覚に、サスケは混乱に陥った。

 逃げようと裸足にも拘らず足を地面に付き、無我夢中で掻いた。
 イヤだと叫びながら、涙を飛び散せる。
 しかしすぐに後ろから両足を上げられ、余計に中のものが躰の奥へと減り込んでいた。


「ひぃ!!…いや、嫌だっ!助けて、やだ、ヤダァ!!」


 腹に巻かれた腕を掴み剥がそうと爪を立て、逃れる為に必死になって腰を振る。
 それがまた躰の中をぐちゃぐちゃにし、サスケは腹の中を掻き回される感覚や、気持ち悪さや押し寄せてくる壮絶な恐怖に、何度も悲鳴を上げた。

 怖い、怖い。
 このまま腹を突き破られてしまう。

 死んでしまう。


「嫌、いやっ…ひぃ、誰か助けてっ!兄さん、お、ねがぃ兄さん助けっ…」
「サスケ、落ち着けサスケ。サスケ」
「やだ、やだ、止めっ…、っひ!」
「サスケ、」


 耳元で何度も名前を呼んでくる静かで力強い声。
 繰り返し、繰り返し。

 ああ…これは、兄の声だ。

 大好きな大好きな、イタチの声。


「………っ、」


 ガタガタと震え涙を流しながらも、ふと我に返った。

 背中に感じる体温と、囁かれる吐息の熱さ。
 この躰を抱き締め、すっぽりと覆う体温。

 サスケは、イタチの手がゆっくりとさすっている自分の下腹部を、おそるおそる見た。
 突き破れると思っていた場所は、全く変わりない。
 中から押し上げられる圧迫感はあるけれど、指で解されていたせいか、痛みは殆ど無かった。
 冷静なれば、これくらいで死ぬなんて事がないのもわかる。

 大丈夫なのだと。
 安心して漏れた小さな吐息と共に、躰の力が抜けていった。
 ゆっくりと、イタチの胸の中に頭を沈めていく。

 サスケ、と耳元で呟いてくるイタチの心配そうな声と、労わるように撫でてくる掌の熱さを感じ。
 また、ぼろっと涙が零れた。


「ごめっ……兄さん。っ…ごめん、俺…」


 拒絶してしまった。
 拒まないでほしいと言った言葉に、自分は頷いたくせに。
 一時的にでも、大好きな兄さんから逃れようとし、傷つけた。

 そうわかるくらい、イタチの気が乱れている。
 覆ってくる彼の躰が、微かに震えている。


「サスケ…俺こそ、ごめんな。お前をこんなに泣かせて。お前を、こんなに……好きになってしまって」


 苦しげな、まるで泣いているのではないかという声に、サスケはフルフルと首を横に振った。

 イタチは悪くない。
 自分が、受け入れると決めて頷いたのだ。
 それを今更、やっぱり無理でしただなんて言って、逃げたくない。


「は、……はっ、は…」
「サスケ、苦しいだろう?もう、抜くから」
「っ…嫌だ、離れんなっ」
「……サスケ?」
「もう、ちょっとだけっ…待ってくれれば。平気だから……もうちょっと、だけ」
「…わかった。でも、無理はしないでくれ」


 コクリと頷き、サスケは腹を覆うイタチの手の甲に、そっと自分の掌を重ねた。
 もう片方の手でぐいっと涙を拭い、鼻を啜る。

 呼吸を整えようと、何度か唾を嚥下し、ゆっくり息を吐き出した。
 繰り返し、繰り返し。

 そうすれば、徐々に躰の方も現状を理解し受け入れ始めた。
 いっぱいに広げられた尻の穴と、そこから下腹部にまで埋められたイタチのペニス。

 ドク、ドク、と。

 胎内から感じる脈の鼓動は、背中から伝わってくる心臓と同じ速さで鳴っていた。
 かなり早いそれは、どれだけイタチが我慢しているのかがわかる。

 中のものは、凄く、凄く……熱い。

 後ろを振り向く事は出来無いけれど、きっと凄く眉間に皺を寄せているのだろう。
 頭に感じる吐息は苦しそうで、時々咽を詰めている。

 自分のペニスも同じようになっているのだろうか?と見てみるけれど、そもそもどういう状況になるのかが、わからなかった。
 いつもよりも、少しだけ擡げている気はする。
 とりあえず気持ち良くなって興奮すると、ペニスから何かが出るのだけは理解していた。


 ふっ、と。
 焚き火の炎が、消えた。

 辺りが一瞬にして暗くなり、月光下でぼんやりとした程度に景色が見える。
 近くで川の流れる、その清涼な音が耳に入ってきた。
 風に揺られて擦りあう木々の音も。

 辺りの涼しさと相反して、自分の躰と、繋がっているイタチの熱さを強烈に意識し始めた。


「は……ぁ、」
「っ…」


 きゅっと中のペニスを締め付けてしまい、イタチの躰が少し強張った。
 けれども、躰はどんどんと熱くなってきて震える。
 穴の入り口も胎内も大きく収縮し、カクカクと全身が痙攣する。

 ヤバイ、変だ。
 初めはあんなに怖かったのに。
 イタチの熱を感じる中から、じわじわと沸き上がってくるもの。

 ああ、どうしてだろう。


 ―――凄く、気持ち良い。


「ぁ、あっ…や、……兄さん、俺っ……、ヤバイっ」
「く……サスケ。動いて、良いか?」
「んっ、早く」


 欲望を押し殺しているイタチの声に、サスケはもう良いのだと必死に頷いた。

 もっともっと、刺激が欲しい。
 ドクドクと脈打つだけの微かな動きは、逆に苦しい。

 イタチはサスケの細い腰を掴むと、少し持ち上げた。
 ズルッと、穴からペニスが抜けそうになり。
 腸壁を擦っていく感覚と、圧迫するものが無くなって収縮する胎内に躰を震わせるも、何で、と慌てた。

 だがすぐにまた腰を引き寄せられて、ずくっと奥まで埋め込まれる。


「ひああぁ!!」


 細くなった場所をまた太いものが通り、広げていく感覚。
 腹の奥まで抉られて、サスケは強烈な快楽に大きな悲鳴を上げる。

 ガタガタと壊れたように全身が震え、生理的な涙が流れていく。


「ひああっ、…あっ、あっア…んんっ!あっ」
「サスケッ…はっ、……っ」


 イタチの漏らす声も熱く、酷く艶めかしかった。
 こうして湧き上がる快楽に溺れるのは自分だけじゃないのだと思うと、安心する。

 兄さんも、一緒なのだ。

 どろどろと脳までを溶かしそうなものに、浮かされて。
 ああいっそこのまま、二人で溶け合えるならどれ程に嬉しい事だろう。

 こんな気持ち良い快楽に兄さんとずっと浸れるのなら、それは酷く幸せな事のように感じた。


「っああん!あんっ…あ、ふぁ、あ!」
「く…サスケ、サスケ」
「はっあ…んっ、気持ち、イイ……兄さんっ、あ、あ」


 求めてくるようなイタチの声に、サスケは必死になって答える。
 開きっ放しの口からは唾液が流れ、それでもなお空気を求めようとハクハクと微かに唇が上下し、舌が動く。

 ズチュッ、ズプッ、と粘着質な水音を立てながら、抽出を繰り返されて。
 腹の中を暴れる熱に、どこもかしこも可笑しくなっていた。

 ただ、イタチと繋がっているのだと。

 白濁していく意識の中で、彼の熱だけを、認識する。


「っ…ぁ、サスケっ……」
「んあああぁぁっ!!」


 イタチがサスケの躰をぎゅっと抱き締め、呻きを上げた。
 ドクンっと一際大きく胎内のペニスが脈打ち、腹の中へと熱いものが放たれる。

 サスケもまたビクビクと大きく痙攣し。

 そのまま、意識を手放した。





  to be continued...

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またもやエロのみで。
しかもえらくガッツリと書いてしまったような気がしますが…気にしない。

2008.08.04
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