悪戯 後篇
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「うっ…うう、あっ…ひ、うぅ」
ぐずぐずと嗚咽が漏れて、涙が止まらない。
ずっと苛まれていた熱に脳がぐちゃぐちゃになってしまっていて、快楽を通り越すあまり、頭ががんがんと痛くなってくる。
つらいペニスをどうにか誤魔化そうと腰を振って、そうしたらケツの中に埋め込まれているローターを締め付けて、余計につらくなるばかり。
そのせいか銀二がタオルを持って戻ってきた時には、彼に向かってケツを振りまくっていた。
「んああ、銀さん、早くっ…ぁ、早くぅ…っ」
「ようやく乱れたか。普段ストイックなお前は、これくらいやらねぇと自分から欲しがらねぇからなぁ」
「だ、だってっ…ぅ、うう」
こんな恥ずかしい事、簡単に出来る筈が無い。
男のプライドをズタズタにされて、けれど銀二に支配されて感じてしまうなんて。
受け入れてしまったら、確実に淫乱になってしまう。
いつか必ず越えてやると思っているのに、躰からそんな簡単に崩されてしまったら、いつになっても超えられない。
「ん、うう…ぅ、…銀さん…」
泣いていたら、銀二はようやくペニスバンドを取ってくれた。
下肢をじくじくいたぶっていた圧迫感が無くなって安堵し、背後から頬に落ちてきたキスに、ほぅと吐息を零す。
ペニスをタオルで覆われ、その上から緩く弄られると、塞き止められていたものが尿道から溢れ出ていった。
手を動かされるたびに、トロトロと零れていくのがわかる。
与えられる刺激に躰中の熱がめまぐるしく動き、森田は何度も弓形に顎を逸らした。
「ふぁあ、ぁ…っあ…ひあぁっ、あ、んああ!」
快楽に身を任せたら、絶頂はすぐに訪れた。
大きく全身が震え、ビクビクと下肢が痙攣していく。
ずっと溜まっていた大量の白濁液が飛び出し、覆っているタオルを汚していく。
「…ぁ…、あ……ぁぅ…」
長時間塞き止められていたせいか、イって銀二の手が離れてもまだ、先端からはとろとろと精液が流れ落ちていた。
時々ぴくんと腰が跳ねると、ぴゅくと液が多く漏れる。
「ん…はぁ…、…あ……」
だんだんと出てくる量が少なくなってくるに伴い、躰の痙攣も少しだけ治まった。
気だるく気持ち良い浮遊感に揺られる。
すると今度は胎内に埋められたローターの震えが気持ち良く感じてきてしまって、再びぶるりと全身が震えた。
ヒクヒクとアナルが収縮するのを止められない。
銀二の視線がずっと自分の尻に注がれているのに気が付いて、羞恥に居心地悪くなり、視線から逃れるように腰を揺らしてしまう。
「や、やだ…ぁ……銀さん、見ないで、下さ…」
「ん?良いじゃねぇか。こんなに色っぽくてエロいんだ、見ない方が勿体無ぇ」
「そんな…ぅ、んぁうっ」
ペニスを嬲って濡れた指で、紐が出ているアナルをつぅとなぞられた。
それだけでまたゾクゾクとして、震えてしまう。
「抜いてほしいか?」
「っ…んぅ、ぬ……抜いて、ほしい…、です」
「それじゃあ言わなきゃなんねぇ事、あるよな?」
諭すように尻を撫でられ、森田はコクリと頷いた。
流れていた涙を乱暴に拭く。
それからふぅと息をつき、ちゃんと見える視界でもって、銀二へと双眸を向けた。
「ぎ…銀さんが、欲しいです」
そう言うと、銀二は嬉しそうに笑みを浮かべた。
アナルから出ている紐を引っ張られ、んっと息が詰まる。
中から徐々に括約筋が広がっていき、排泄するような感覚にぞくぞくした。
クッションをきつく抱いて、出ていくまでじっと我慢して。
しかし穴が広がっている状態で、ローターの排出を止められてしまう。
小刻みな振動が思いっきり括約筋を刺激してきて、森田はギクギクと腰を跳ねらせながら、慌ててまた銀二へと見やった。
「や、銀さん、…ぁ、そこで止められたら、…ぁあっ、んっ」
広がっているアナルの淵を撫でられて、恥ずかしくて嫌なのに、ぞくぞくして腰が揺れてしまう。
気持ち良くて、ローターを締め付けて。
そしたら突如、ヌポンと抜けていった。
一瞬にして窄まった入り口に、寒気のような快感を覚え、ふるりと全身が震える。
「は、ぁ……ああ…」
「まるで排卵みたいだったな。楽しませてもらった」
「ぅっ…言わないで、下さい…っ」
怒って銀二を睨みつけると、彼はぽんぽんと頭を撫でてきた。
それからベッドから立ち上がる。
どうしたのかと思ったら、彼も服を脱ぎ始めた。
森田はほぅと溜め息を吐き、躰を横に倒した。
一糸纏わない全裸でまっさらなシーツに躰を押し付けるのは、とても気持ち良い。
横になったまま、銀二をぼんやりと見上げる。
自分よりも二倍近く歳を取っているとは思えないほど鍛えられていて、凄く綺麗な躰付きをしている男だ。
いつも魅了されて、眼を奪われてしまう。
触りたいなと思わされ、森田は銀二に向かって腕を伸ばした。
「銀さん…」
「わかっているから、そう急かすな」
ふっと笑われ、森田は頬を赤らめながらも口を尖らせた。
これでは自分ばかりが、がっついているようではないか。
元々こうなったのは、銀さんのせいだというのに。
銀二は全てを脱いで自分と同じように全裸になると、ベッドに投げ出していた腕を撫でながら、躰の上に乗ってきた。
足や下肢や腹が摺り合わさり、気持ち良さに彼の背中へと腕を回す。
鼻が触れ合うまで顔を近づけられ、眼を覗かれた。
綺麗な眼の奥に、自分が映される。
「銀さ……ん」
そうしてゆっくりと降りてきた唇を、森田は受け止めた。
軽く触れ、離れたと思ったら次は深く合わせられる。
「ん、ん……む」
口腔に入ってくる銀二の舌を舐めて、絡めると、彼からも嬲ってくる。
自分の舌を銀二へと差し出せば先端を舐められて、ぞくりと背筋が震えた。
そして次にはまた、銀二の舌が咥内の奥へと入ってくる。
キスを堪能していると、彼の手が膝裏に回った。
左足を持ち上げられて、ヒクつくアナルに宛がわれる、熱。
銀二の熱に思わずこくりと喉を鳴らし、唾を嚥下した。
欲しい、と。
そう思えば銀二はふと口元に弧を描き、囁いてくる。
「いけそうだな」
宛がわれたものが、ゆっくりと中に入ってきた。
入り口を大きく広げられていき、そこからゾクゾクと悪寒のような快楽が這い上がってくる。
「ひ、…ぁ、んぅ……ふ、んん、…あっ」
先端部分が入り、その後も、ず、ず、と徐々に胎内の壁を押し広げながら擦り入ってくる。
ゆっくりなだけ、彼のモノが入ってくる感覚がリアルに伝わってきた。
先程までずっとローターを入れられて我慢を強いられていたせいか、いつも以上に快楽を感じる気がする。
自分の中が、銀二で埋め尽くされていく。
「っ…森田。入った、ぞ」
「…は、……はぁっん、んっ」
告げられた言葉に、いつの間にか詰めていた息を大きく吐き、荒い呼吸を繰り返した。
熱に浮かされ、とめどなく零れている涙。
それを彼が拭ってくれる。
「あ、ん……銀さんの形に、なってる…俺の中…」
「気持ち良いだろう?」
「はい…、すごく、んっ……イイ、です」
こうして見つめ合いながら抱かれるのは、素直に嬉しい。
それくらいには、彼が好きだ。
だがしかし、ここに来るまでの仕打ちに関しては、少しくらい仕返ししても良い筈だ。
そう思って、森田は尻に力を入れて、意図的にきゅっと中のペニスを締め付けた。
するとこちらへと僅かに垂れている銀髪が揺れ、がくんと彼の上体が自分の方に落ちてきそうになる。
だが銀二は、こちらの顔の横に手を付く事でどうにか保った。
そして耳元で、悪態を吐く。
「…っ、この、馬鹿が」
「は…っ。やられっぱなしってのは、性に合わない、んで…」
「……お前な」
はぁ、と呆れたように吐く銀二の息が、肩に掛かる。
森田は掠れた喘ぎを出しながらも、小さく笑った。
すると、ぴくりと彼の背が動く。
「ぅっ……ぎ、銀さん?」
やりすぎたのだろうか、銀二は首元に顔を伏せたまま、クッと喉を鳴らした。
何かヤバいような気がして口を開こうとした途端、ぐいっと膝を胸元に付く程押し込まれ、腰を上げさせられる。
「ひぐっ!?」
「これだけ煽ったんだ、容赦しねぇからな」
いや、元はと言えば銀さんが…と内心思ったものの、受け入れている入り口が自分からも完全に見えてしまうようなあられもない格好には、どうしても羞恥を覚える。
そんな所、見たくもないのに。
反論しようとするも、遮るかのように腰を強く打ち付けられ、ヒッとか細く喉が震えてしまう。
「ぅあ!ちょ…銀さ、まっ…んあっあ!」
「っ…待てるかよ。お前の中は、随分と具合が良いんだ。入れているだけでも、焦らされちまうん、だよ」
「やっ…そんな、あ、…ぁう!」
銀二は腰を激しく打ち付けながらも喋っているのに、自分は反論しようと口を開けば、嬌声ばかりが上がった。
ずくんと奥まで突かれ、ずるずると出て行ったかと思うと、また勢い良く入ってくる。
中をいっぱいに広げられて内壁を擦られると、そこから快感が生まれ、堪らなく感じた。
「ふ、うくっ…ぁ、あ、あっ…」
ぼろぼろと流れる生理的な涙が、こめかみを伝い、落ちていく。
口の端からは唾液が流れ落ち、めまぐるしい熱によって全身から汗が吹き出ている。
熱い。
熱くて、気持ち良くて、どろどろに溶けちまいそうだ。
「ん、んーっ!…あ、銀さ、あぁ、あ…あふっ」
「気持ち、イイだろ…」
「あ、んぁ、…い、あぅ…はううっ」
眉を寄せつつもこくこくと頷き、けれどぐりゅっと奥に埋め込まれ、その言葉を上手く言えなかった。
じゅぶ、じゅぶ、と粘っこい水音が聞こえる。
ずくずくと施される快楽に、だんだんと思考が奪われていく。
躰の奥から生まれる快楽が全身へと広がっていき、射精感が高まる。
そうしてまたペニスの先端からはどろどろと精液が零れ出し、自分の腹へと伝い落ちてくる。
「んぁあ…、銀さん、…あっ、あ、あぅん」
「森田、っう」
銀二も限界が近いのか、熱く艶かしい息を吐いていた。
奥を突かれるたび、強烈な快感が全身へと行渡り、頭の中が白くなる。
胎内のペニスが出て行こうとする時でも、前立腺を刺激される時と同じくらいにガタガタと躰が震える。
「ぃ、イクっ、もう、あ…イ、いっちま…あ、ぁあっ!」
「っ…森田っ」
「あっあっ…あう、ぅー!!」
もう一度奥に叩きつけられた時には、喉を引き攣らせて射精していた。
大きく躰が撓り、銀二のペニスをぎゅうと強く締め付け、その締め付けに彼も自分の胎内で射精する。
どくどくと脈打ち、ごぷっとした音と刺激によって何となく胎内に出された精液を感じられた。
それが熱いものなのかどうなのかは、自分の躰も熱過ぎて、わからない。
荒い息を吐きながら、涙腺が壊れたかのように涙がしとどと流れていく。
彼の吐息も、耳元から聞こえてくる。
「…あ、あ……ふ…」
「気持ち良かったか…?」
「はい、良かった…です」
その言葉に頷いたら、銀二は涙を拭ってくれながら、優しい微笑を浮かべてくれた。
それだけで少しくらい理不尽な事でも許してしまえるので、もしかしたら当分は敵わないんじゃないかと思ってしまうのだが。
「………」
「…なんだ?ものすごく何かを言いたそうな顔したが」
「いえ。…何でも、無いです」
「そうか?」
僅かに首を傾げるも、それ以上は突っ込まれる事無く、頬やおでこを撫でられる。
森田はほぅと吐息を零すも、言ったら確実に付け込まれるので、絶対に秘めておこうと心に誓った。
...end.
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森田は頑張って常に銀さんを押し倒そうと目論見ながら、受け続けていれば良い。
2011.08.05
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