緩やかな流れ
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ふわふわ、ふわふわ。
気持ち良い。
躰が、何処かに浮いている感じがする。
随分と気持ち良くて、一体何処にいるのだろうかと一瞬だけ疑問が浮かぶ。
しかしふわりと太腿を撫でていく感触に、すぐにそんな疑問は吹き飛んでしまった。
やっぱり、気持ち良い。
頬に当たるすべらかなものも、背中に当たっている暖かく優しく、肌触りが良いものも。
頭を時々掠める感触も、胸や腹や腰を包み込んでくるものも。
全てが柔らかくて、優しくて、気持ち良い。
「ん…」
あまりの気持ち良さに、微かに声が漏れた。
太腿を撫でていたものが、ふと自分のペニスを掠める。
ゆるりと軽く掴まれ、ルークはひくんと腰を跳ねらせた。
ゆるり、ゆるり、そのまま優しく先端を弄られる。
感じやすい尿道の穴をクリクリと嬲られ、思わず腰をくねらすと、次は先程よりも少しだけ強く包まれ全体を揉み扱かれた。
「……ん、ふ」
鼻に掛かった小さな喘ぎが漏れていく。
ちょっと全体を揉まれたかと思えば、またペニスの先端を摘まれ弄られる。
先程とは違って、クチュリと水音が聞こえてくる。
クチュ、クチ…。
もしかしたら、下半身は浅い湖のぬるま湯に浸かっているのかもしれない。
少しぬめっているのは、湖には何かしらの成分が含まれているからだろうか?
太陽が出ているようで、眼を瞑っていても暖かな光が見える。
だんだんと躰がとろけていく感じがするも、やはりまだ眼は開かず、なすがまま。
緩やかな時の流れの中に、まだ浸っていたくて。
そして、この場所がとても心地良いから。
「あ、ぁん…ん……はぁ」
何処からともなく来る優しい優しい愛撫も、ずっと先端ばかり弄られていると、じわじわ程度の熱の浸食がずくずくに変わっていく。
あまりにも気持ち良過ぎて腰辺りが今すぐにでも溶けてしまいそうな感覚に、ルークはむずがり寝返りを打った。
すると今度は、後ろの窄まった穴にもチロリとぬるま湯が垂らされる。
既に躰中が暖かな湯に浸かっているようで、よくはわからなかったけれど。
なんとなく、尻の穴をクイと広げられているような。
ぴちゃり、ぴちゃりと音を立てながら谷間をなぞられ、窄まった箇所にぬるりとしたものが行き交う。
何度も何度もされて、ヒクヒクと穴が収縮を繰り返し、解されていく。
「ぅ、んは…、ゃん」
ゆっくりゆっくり、穴がトロトロと溶けていき、時折ヌチュと何かが少し中に入ってきていた。
ぬるま湯が水面を上げて、そこに入ってきているのか。
けれども、頬をすり付けている場所はまだとても眠気を誘う優しい爽やかな匂いをしていて、さらさらと肌触りも良く眼が開かない。
ああきっと、周りは森なのだろう。
頬を撫でていく風に乗って、緑の爽やかな匂いがした。
長閑で気持ち良い森の中で、このままずっとのんびり眠っていたい、と。
そんな緩やかな思考をした、矢先。
「ぁひいっ!?」
唐突に襲ってきた強い撃に、ルークは素っ頓狂な叫びを上げ、眼を見開いた。
頭が真っ白になって、チカチカと光る。
躰の奥にまでズクンッと、いきなり何かを突っ込まれたのだ。
ケツの穴を大きく広げられ、太いものを咥え込まされて。
脳天まで一気に突き抜けた快楽に、全身に緊張が走り、ガチガチに強張る。
しかし、次には胎内に入ったものをあまりにも強く締め付けてしまい。
「はうぅっ!」
またしても素っ頓狂な声を出しながら、ルークは全身をビクビクと撓らせた。
躰中を強烈な快楽が掛け巡り、突然の事態に対し驚きのあまり、ボロボロと涙が零れていく。
どうなっているのか、訳が分からない。
視界は相変わらず真っ白で、ここが何処なのかもわからない。
なのに、胎内を割り広げいっぱいに埋め込まれたものが前立腺に当たり、気持ち良くてビクンビクンと断絶的に腰が跳ねる。
隙間など微塵もない程に内壁を伸ばされ、ちょっと腹に力を入れるだけで中のものを締め付けてしまい、そこから全身に電流のようなビリビリしたものが走っていく。
しかしじっとしても、腹の中に何かが入り体内を圧迫しているというだけで、じわじわと嬲られる快楽が震えを止まらせず、頭を可笑しくさせる。
ひくひくと、どうしても穴が収縮し締め付けてしまい、それがまた堪らなく気持ち良い。
「あ、ぁはっ、う…ん、ん、んん、…あ、」
「…ルーク。気持ち良い、か……?」
「ぁ…」
後ろから耳元に囁かれた声に、朦朧としていた意識がふっと浮上した。
真っ白だった視界が、一瞬に鮮やかな色彩に変わる。
そこは、見慣れた自分の部屋だった。
白い壁に、いくつも取り付けられた大きな窓達。
換気しているのか全ての窓が開け放たれ、レースのカーテンを揺らし柔らかい風が部屋の中に入ってきている。
そして、輝かしいまでの青空と注ぎ込んでくる太陽の光。
庭に植えられた緑が風に揺られ鳥と囁き声を奏でている、長閑な朝。
見るだけで幸せを感じるような、景色。
それから―――
「ん…ぁ、は…アッシュ」
「…ん?」
震える首筋や肩や背中にいくつものキスを降らしてくる相手の名を呼べば、軽く返答が返ってきて。
良かった幻ではないのだと実感出来て、ルークは快楽に震えてしまう躰をどうにか動かし、そっとアッシュの方を向いた。
「…おかえり」
「ああ、ただいまルーク」
一週間ぶりに見た、同じ顔でありながら違う者の静かな笑顔。
自分よりも深い色をした紅く長い髪は、相変わらず艶やかで綺麗で。
背後から抱き締められて、その暖かい温もりと伝わってくる鼓動に、そして自分の心臓にまで届く心地良い声に、心が歓喜に溢れ、胎内のものの存在をより鮮明に感じる。
ああ、アッシュのものだと。
彼に抱かれているのだと。
ぞくりと躰中が震える。
気持ち良い、気持ち良い。
でも……。
もっと、欲しい。
「はぁ、ん…、あっアッシュ、頼……も、うご、けっ」
サラサラと爽やかな匂いのする白いシーツを掻き握り、咽から絞り出すような声で懇願した。
流石にずっと入れられているだけだなんてかなり辛くて、生理的な涙が頬を伝いシーツに染みていく。
じくじくと浸食してくる快楽をどうにかしてほしい。
しかしそんなルーク以上に、アッシュは辛そうな声を出した。
「滅茶苦茶にしても、文句言うなよ…っ…」
「ひんっ!」
腰を掴まれた、と思ったらズグッとより深く奥にアッシュのペニスが入り込んできて、尾骨から背骨までが軋んだ。
堪らず嬌声が上がる。
「やぁっ、あんんっ…あ、あ、あひっ!」
ずるずると出ていかれる時には腸を持っていかれるような感覚に陥り、すぐにまた最奥まで抉られる。
まるで腹の中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜられているみたいだ。
ズチュ、グチュっ、グチュ、ズチュ…。
卑猥な音を立てながら何度も何度も入り口付近にまで引き戻され、すぐにまたズブッと奥の奥まで太く熱いものを突き入れられ。
内壁が擦れまくるは前立腺直撃されるはで、快楽の渦が沸き上がりガクガクと躰中が震える。
涙がぼろぼろに零れ、喘いで閉じられなくなってしまった口からもだらしなく涎が伝う。
「あ、あうっ!ゃ、やら…ああっ、そんな、した、らあぁ!」
「はっ…く…、ん、んはっ」
「イく、イっちゃっ!…め、だ…あ、あぁああっ!」
躰が痙攣しまくっている最中にズクンと中いっぱいに咥え込まされ、ずっと快楽の波に押し寄せられていたルークは耐えきれず、絶頂を迎え精液をシーツに飛ばした。
ビクン、ビクンッと腰を大きく跳ねらせ、アッシュのペニスを強く締め付ける。
それと同時に、熱いものが奥いっぱいに広がっていくのを感じる。
ああ、アッシュもイったのか…と、ホッと息を吐き、躰中の力を抜いた。
その瞬間を狙われたような、衝撃。
「ひぅぅぅ!?…ちょ、待っ…やあ!あ、あっ」
「この、屑がっ…一回で、足りる、かよっ」
背中にアッシュの躰が乗りかかってきて、どれだけ逃げようとシーツを掻いてもその場から動けなかった。
しかもアッシュのペニスは先程の放たれた精液を混ぜるように動いてきて、何処もかしこも擦られている感覚に、狂いそうになる。
尻だけを高くされて、奥まで突かれて。
ズチュッズチュゥと抽出を繰り返されるたび、中から精液が漏れて、太腿にたらりと流れていく。
ずっと強烈な快楽を与えられ続けていて、何もかもがドロドロになりそうだった。
どんどんとアッシュに侵されていき、自分が自分で無くなりそうな感覚。
凄く、凄く気持ち良くて。
「やめ、やめっ!も、可笑しくなるっ…ああ、ゃ、あっ!」
「可笑しく、なっちまえ。はっ…くぅ」
「ふぁ、あっ」
アッシュの漏らす微かな呻きが耳元にかかり、それだけでもぶるりと震える。
先程から精液が駄々漏れで、イきっぱなしで、強烈に気持ち良くて。
揺さ振られる、何度も、何度も。
ぐちゅ、ぐちゅ、前立腺を擦られ、溶けていく。
涙が止まらない。
感じすぎて、何がなんだかわかならい。
「んん、や、も…やだっ、やだぁ、アッシュ、気持ち、良いっ、ぅああっ」
「っ…もう、すこし、…ふ、っ、ルークっ」
「あ、っああ、あ!」
アッシュが切羽詰った声で、名を呼ぶ。
自分の名を、呼んでくる。
そう白濁した脳内でどうにか理解出来た時、躰の中心で弾けた熱い迸りに、ルークはガクガクと腰を大きく痙攣させていた。
「ぁ…ん……アッシュ、そこは、も」
朝っぱらから激しいセックスをし、暫くしてようやく躰が落ち着いてきた頃。
二人で素っ裸になったまま、使っていなかったまっさらなルークのベッドの方で、のんびり肌を触れ合わせていた。
一週間ぶりの唇に酔いしれ、戯れ、触れ合い。
お互いを確認するように躰中にキスを押し付ける。
胸に、腹に、内股に。
しかしアッシュの唇がルークのペニスの先端に寄せられると、ルークは気持ち良さそうに吐息を吐くも、離れるように腰を動かした。
アッシュはちゅっと一回だけ先端にキスし、すぐにまた他の場所へと移動していく。
ほっと胸を撫で下ろすが、少しばかりムッとしてしまう。
「ったく…帰って来るなり、人の寝込み襲いやがって」
「お前こそ、人のベッドに一糸纏わぬ格好で眠っていたくせに、よく言うな。あんな姿見せられれば襲うだろう普通」
「そ、れは…毛布は被ってただろうが!」
「同じようなもんじゃないか?」
「………ぅぅ」
ニヤリと笑いながら、アッシュの顔が近づいてくる。
その顔が明らかに、気持ち良かっただろ?と聞いてきていて、ルークは眉間に皺を寄せて唸った。
頬が紅潮する。
そりゃ、確かに気持ち良かった。
眠っていた時の優しい前戯も、その後の激しいセックスも、今ののんびりとした触れ合いも。
でも気持ち良いとかではなくて、もっと…こう、心の隙間を埋められた感覚というか。
凄く、凄く、暖かくて。
でも少しだけ、目の前にアッシュがいる事に照れくさくなる。
翡翠の双眸に自分の姿が映っている事が、じわりじわりと流れる時を緩やかにしていて、甘ったるい空気が流れていて。
それが、少しだけ。
でも一週間、会わなかったのだ。
お互いに行かなければならない場所があって、二日三日と屋敷を出て、帰ってきても相手はいなく、次の日にはまた遠出。
そうやってすれ違ってすれ違って。
ようやくこうして、二人でのんびりと出来る。
「ルーク」
「………何」
「寂しかった」
胸辺りに顔を押しつけ、腰に腕を回してきたアッシュ。
言われた言葉に、思わず目を見張る。
相変わらず卑怯だし、ズリィし。
ルークだって寂しかった、だからアッシュのベッドで眠っていたのだ。
アッシュの匂いを感じて、ちょっとばかりだけだったけれど抱かれている気分になって、寂しさを紛らわせていた。
それをわかりきっていて、先に言うアッシュはマジずりぃ。
仕方無ぇなぁと、ルークはニッと笑みを浮かべ、アッシュの頭を撫でる。
「俺も。会いたかったぜ、アッシュ」
「…ああ」
「な、今日は暇だろ?一日中一緒に過ごせるよな」
「そうだな。一日ベッドの中で過ごすなんて、かなり魅力的だろうな?」
甘い雰囲気の中ゆるゆると紅い綺麗な髪を梳いていると、下から質の悪い笑みを浮かべて覗かれ、思わずウゲッと声が上がる。
「アホか!一日中なんて身が保たヌェーつの!うわやめろ!あっ、あ」
まだ湿っている穴を撫でられ、腰が跳ねる。
アッシュが楽しげにクスクスと笑っている。
それがかなりイイ笑顔なものだから、一瞬だけ絆されそうになったものの。
下手すれば明日ずっとベッドの住人になってしまいそうな危機感に、ルークは笑顔を引き攣らせた。
...end.
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のんびりしたほのぼの明るい話が書きたいなぁっと思って………エロくなりました。
いつもラブラブな赤毛で。
2008.05.17
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