brother 2

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 吐く息が白く見えるほどの寒さの中、しげるは一人夜道を歩いていた。
 現在は夜中の二時少し前。
 住宅街は寝静まっており、辺りに人の気配は無い。

 一時間ほど前まで少し遠くにある雀荘にいたのだが、今日は随分とつまらなかった。
 ふらりと立ち寄った店は、夜中まで開いていたにも拘らずヤクザや裏企業の人間がいなかったのだ。
 相手が個人のギャンブラーだと、掛け金はそれなりに高いものの、死線のやり取りにまで発展しない。
 結局全く心が満たされなかったので、早めに切り上げた。

 アカギと一緒に住むようになってから、約二週間。
 その間全く雀荘に行っていなかったから、久しぶりに楽しみたかったのに残念だ。

 家に着き、玄関の鍵穴に鍵を刺す。
 ドアを開けて中に入ると、自動で明かりが灯った。
 するとドタドタと走ってくる音が聞こえてきて、少々ビックリしてしまう。


「し、しげる!?」
「カイジさん」


 今日はアカギが代打ちの予定を入れているから家にいないと言っていたので、てっきりカイジも付いていくのだと思っていたけれど、残っていたのか。
 でももう夜中の二時だ。
 普段朝から起きている彼ならば、とっくに眠っている時間。

 しかも目の前に立ったカイジは、何故か泣きそうな顔をしている。


「お、お前なんでこんな、帰りっ……遅!」
「ただいま。学校帰りにあちこち歩いて、雀荘寄ってきただけだよ」


 首を傾げつつも、聞かれた質問に答える。
 すると彼の眼にはみるみるうちに涙が溜まり、ぼろっと零れ落ちた。

 …なんで泣くんだ。


「だったら、連絡くらいしろ!夕飯の時間になっても帰ってこないし、零時回っても全然音沙汰もなくて、すげぇ心配したんだからな!け、警察に捜索願出そうかと思ったくらい…!!」
「……出したの?」


 カイジもいないと思って家に電話しなかっただけなのだが、そう言える雰囲気ではない。
 しかも知らぬ内にえらい大事になってしまったのかと、危惧したのだが。


「アカギに電話したら、どうせ雀荘でしょ?って」


 流石は兄さん、よくわかっている。
 だったら問題は目の前のカイジだけなので、とりあえず頭を下げた。


「心配かけてごめんなさい」


 するとぎゅっと抱き締められた。
 頭にぐりぐりと顎が当たるし、髪はぐしゃぐしゃにされるし、ぎゅうぎゅう抱きしめられるしで、ちょっと痛いし苦しい。


「本当に、滅茶苦茶心配したんだからな!死んじまってたらどうしようって!」


 妄想を膨らましすぎだ。
 そんなにギャンブルの腕を信用されていないのも、切ないものがある。
 カイジとは家で何度も戦っているから、技量はわかってくれていると思っていたのに。


「良かった、お前が無事で良かった……」


 はぁ……まぁ、いいや。












 隣が沈んで、ふと意識が浮上した。
 夢を見ていたような気もするし、浅い眠りの最中だったらしい。

 覚醒を促すように頭を撫でられたので、そろりと瞼を持ち上げる。
 もう日が昇っているらしく、カーテンの隙間からは陽の光が漏れて部屋の中もぼんやり見えるようになっていた。
 そして、髪を梳き顔を覗いてくる人物。


「…アカギさん?」
「ただいま。悪かったね、起こすつもりはなかったんだけど」


 静かに囁く、アカギの優しい声。
 横にぴたりと寝そべって頭上に肘をつき、頭を撫でられているこの現状は、まるで柔らかく覆われているようだった。
 本当に小さな頃は、よくこうして一緒に寝た記憶がある。

 じっと見上げていると、アカギは小さく笑った。
 布団の上からぽんぽんと腹辺りを撫でられる。


「お前が俺のベッドで眠っているなんて、カイジさんに引っ張られたのかな」


 ああそうか、そういえばここは自室じゃなかった。
 アカギの部屋の、キングサイズベッドの中だ。
 いつも二人が眠っているベッドなのでここで眠るなんて遠慮したかったのだが、泣くカイジに今日は一緒に寝る!と喚かれそれこそ引っ張られてしまった。

 ただ、嫌なのは二人の関係を考えた理由であり、実際自分に何か被害があるわけではないから抵抗するほどの事ではなく、連絡しなかったこちらに非があるのも自覚していたので彼の言い分を受け入れた。
 そのカイジはというと、アカギとは反対側にくっついて、今もぐっすり眠っている。


「邪魔なら部屋に戻るよ」
「良い。まだ眠いんだろ?」


 頷いた。
 昨日も朝から学校へ行っていき、その後に雀荘行ったから二十時間近く起きていたのだ。
 今が何時かはわからないが、眠気は全く取れていない。

 それに、今日は休みだ。
 そういう日を見計らって雀荘に行くようにしたのも、カイジが平日はいつも朝起きて朝食まで用意するからなのだけど。
 どれだけ嫌がる素振りを見せても、毛布をはぎ取られたら仕方無い気分になる。

 カイジ相手だと、こっちが折れないといけない気にさせられるのだ。
 本気で嬉しそうに朝から炊事場に立ってるし、俺の飯が不味いからか?なんて凹まれたら、どうすれば良いのかわからない。
 結局施設にいた時よりも、真面目に学校行っている状況だ。

 アカギはこちらに触れていた手をカイジへと伸ばし、彼の頭を撫でた。


「ここにいな。お前がいないって、起きた時に泣かれても困る」
「……そうだね。カイジさんって凄い過保護だし」
「弟が出来て嬉しいんだよ。元々、気質が世話好きだし。今までそういう相手が周りにいなかったから、本人も今まで気付いていなかったみたいだけど。ただ、お前はカイジさんと十一違うから」


 世間的に見れば、確かに自分は保護対象だ。
 でもそんなもの、全く必要無いのに。

 するとこちらの内情を察したのか、アカギは小さく苦笑を漏らす。


「とにかく今回は、俺も悪かった。カイジさんも連れていくべきだったし、お前に携帯持たせておけば、カイジさんが夜中まで待ち続ける事も、お前が帰っきた途端に面倒な状況にもならなかっただろうから」


 もう眠りなと言われ、瞼に掌を置かれて眼を瞑るように促された。
 眼を瞑ると、すぐに眠くなる。


「ただこれだけはわかっておいてほしいんだけれど」
「ん……何?」
「雀荘に行っているとちゃんと伝えておけば、カイジさんは心配しなかったよ。お前が博徒として一流である事くらい、わかっている」
「うん」


 頷いたら、アカギは立てていた肘を下ろし、眠る体勢に入った。
 すぐに聞こえてきた寝息に誘われるように、意識は落ちていった。















 午後三時頃。
 飲み物が近いのでリビングで宿題を片づけ、暇なのでそのまま教科書を読んでいると、朝方に眠ったアカギが起きてきた。


「おはようしげる」
「おはよう」


 後ろのソファに腰掛けてきた兄に、挨拶を返す。
 本当に起きたばかりのようで、まだぼんやりしていた。


「コーヒー入れようか」
「ああ、頼む」


 立ち上がり、自分の空のマグカップも持ってキッチンに立った。
 アカギのカップを出して、カイジが用意しておいてくれたコーヒーメーカーからコーヒーを注ぎ、自分の分は冷蔵庫から牛乳を出す。

 しかしソファまで持っていくよりも先に、アカギがすぐそこのダイニングテーブルに座った。
 テーブルの上に置いてあった新聞を読む為だ。

 コーヒーを傍に置くと、ありがとうと礼を言われる。
 向かいに座れば、さっそくコーヒーに口を付けたアカギが僅かな笑みを浮かべた。


「カイジさんは、買い物?」
「ううん、近所のおばさんに呼ばれた。クッキーが上手く焼けたから、お裾分けだとか。ついでに世間話してきてるんじゃない?」
「……しげるが来た影響かな。前までは、そんな事一度も無かったから」
「そうだね」


 アカギ一人の時には、近所付き合いなんてこれっぽっちも無かったのは目に見える。
 そもそも無人である方が多かったのだから、当然。

 自分が来たからという理由も、確実に合っている。
 平日は毎日朝から中学生が学校に行く、それだけで普通の人間が住んでいるとわかり、近寄りやすくなるのだから。

 ただし、元々家主のアカギの噂が凄い飛び交っていたのがそもそもの原因だ。
 アカギの纏う空気は、擦れ違うおばさん達をいとも簡単に捕らえていた。
 あの家にはとてつもなく美形で格好良くて、しかし全く近寄れない若い男が住んでいるという認識を与え続けていた。

 そして普段は本当に普通で、人付き合いはあまり得意じゃないけれど、ちゃんと向かい合うと話しやすいカイジ。
 彼も自分が来るまでは生活サイクルが世間と合っていなかった為、アカギと同じように見られていたようだが……ここ最近は、毎朝自分よりも早く起きている。
 しかも自分のサイクルに合わせて家事をするようになり、朝から近所にゴミ捨てに行ったり外で洗濯物干したり、昼前に近くのスーパーに自転車こいで行けば、外観はやたらデカい家でも一気に生活感溢れているように見える。

 人の世話をするのが本当に楽しいらしく、近頃は話しかけても大丈夫な雰囲気をしてしまっているせいで、おばさん達はカイジと擦れ違った際にこの家の事を根ほり葉ほり聞くようになった。
 家主はどんな仕事をしているのか、いつも朝学校に行っている中学生は弟か、カイジは似ていないけれどどういう関係なのか。

 そんなこんなで、ご近所さんにはアカギとカイジが恋人同士だという事などすっかり知れ渡ってしまっている。
 仕事に関しては、プロ雀士と、裏世界らしさが出ない言葉を使ったようだが。

 とにかく学校から帰ってくる道すがら、美男子同士で本当に愛を育んでいるだなんて素敵よねぇ!とか、アカギさんってとても優しいんですって私の旦那と交換したいわ!それなら私が交換したい!とか聞いてしまった時の何とも言えない苦さは、ギャンブルでは絶対に味わえないものだ。


「おばさんっていう人種は、怖いね」


 しみじみ呟いたら、新聞に眼を落としていたアカギは、僅かに苦笑しただけ。
 別に良いんじゃない?という仕草。
 近所に広まっている噂、アカギさんもとっくに知っているみたい。












 アカギが起きてから三十分後くらいに、カイジが帰ってきた。


「お、アカギ起きたんだな。飯は食うか?」


 もらってきたクッキーを皿に出し、テーブルの真ん中に置かれたので、さっそく一つ食べてみる。
 うん、見た目は手作り感満載だが、悪くない。


「これ、旦那さんと一緒にどうぞってくれたんだよな。近所の人達ってみんな優しいよなぁ」
「…………」


 まぁカイジさんは騙されやすいし、まさかご近所の話のネタにされまくっているとも気付いてはいないようだし、そっとしておこう。
 アカギも全くその話題に触れず、話を進めていく。


「今日はこれから、しげるを連れて出掛けます。携帯買いに行かないと。ついでに飯も食って、雀荘行こうかと」


 いきなり買うほど必要性は感じていないけれど、すぐに思い直す。
 多分アカギも、代打ちをやっている最中に携帯が鳴りまくって、電話に出たら出たでカイジが泣きじゃくっていて大変だったんだろう。
 でもそれを口に出すと、またカイジにお前の帰りが遅いから!と言われるので止めておいた。

 でもそうか、今日はアカギと麻雀出来るのか。
 それは今から楽しみで仕方がない。
 カイジも同じらしく、眼をきらきらと輝かせていた。


「俺も行って良いんだよな?」
「留守番したいんですか?」
「行く、行くぜ!絶対行く!!」
「そう。ではさっそく出掛けましょうか」


 ジャンパーを着て、マフラーを巻いて、財布を入れただけのショルダーバッグを斜めに掛けて、靴を履く。
 カイジが戸締まりして、三人で並んで駅まで歩いた。


「面子はあっちで適当に空いてる奴捜すのか?」
「いいえ、それじゃあつまらないので、先程知り合いにメールで誘いました。一時間ほどでこちらの駅に着くそうですよ」


 家から20分すれば、都会らしい人の溢れた駅に辿り着いた。
 さっそくアカギが使っている携帯と同じショップに入り、機種を選んでから、プランコースを決める。


「学割と家族割で良いんじゃない?あとはカイジさんとの通話が無料になるよう設定しておけば良いでしょ」


 家族割か。
 そう思ったら、タイミング良く横にいたアカギに頭を撫でられた。

 書類を書き、出来上がるまでの空いている時間で近くの飯屋に入る。
 軽くラーメンを食って再び携帯ショップに戻ったら、既に携帯は用意されていた。
 アカギが金を払い、袋を受け取る。
 家に帰ったら充電しよう。

 そのあと、駅の改札口で待っているという知り合いを迎えに行った。
 改札が十以上ある広くたくさんの人が流れている場所なので、待つ人間も多い。

 だがその中に、ふと眼を引く人物がいた。
 堅気ではなさそうな空気を纏っているし、顔にまるで刀で斬られたかのようないくつもの大きな傷がある。


「天さん」


 その人物に、アカギが近づいていく。
 すると向こうも軽く手を上げてきた。


「一年ぶりだなアカギ。元気にしてたか?」
「ええ、まだ五体満足ですよ」
「ははっ、相変わらずあちこちで勝ちまくってるなぁ。でも最近は嫁が出来て腰を落ち着かせているって噂が流れてるぞ」
「恋人が出来ましたから。男ですけれど」


 アカギに目線で示され、カイジが顔赤くした。
 男も興味津々でカイジを見てくるから、今度は耳まで赤くなる。


「そちらはどうですか?奥方二人はお元気ですか?」
「おう、元気元気!俺も元気だぞ!」
「天さんの事は聞いていませんが」
「うっ、こういうところは赤木さんそっくりだ…っ。『お前の事なんて聞いてねぇよ』って脳内でリフレインされた。うお怖ぇ!」
「ありがとうございます」
「褒めてないしな!ったく、お前さんは小さい頃からさっぱり可愛げがないよなぁ。昔なんてガキだったにも拘らず殺すぞってオーラが放たれていてすげぇ眼してるから、近寄る事も出来無かったし。赤木さんも全く気にしていなかったし。……しかし、そうか。本当にもう一人子供がいたんだな」


 男はこちらに視線を向けると、腰を屈めて目線を同じ高さに合わせてきた。


「お前さんの親父さんの友人で、天って言うんだ。よろしくな」
「よろしくお願いします」


 差し出された手を握り返し、放すと頭を撫でられたので大人しく受け入れたら、彼は酷く驚いた顔をする。
 何事かと首を傾げたのだが。


「おおぉお。睨まれなかったし、手もはたかれないなんて。感動もんだ…」


 自分的にはアカギやカイジによく頭を撫でられるので、これくらいは気にするものでもなかったのだが。
 アカギが父親と一緒に住んでいたのは、五歳から十二歳まで。
 その時から近寄れないなんて、幼少のアカギは一体どのような存在だったのだろう。

 思考をめぐらしつつも、数秒経っても頭から離れない手に少し眉を顰めたら、その瞬間にアカギが彼の手を掴んでいた。


「天さん、触りすぎ」
「あ、と。……ああ。すまん」


 とてつもなく静寂の眼が、天を射抜く。
 なるほど、確かにこの眼で見られたとしたら、近寄れない。
 尋常の神経の人間だと言葉を失いそうなほどに、冷たい眼だ。

 初めて見たアカギの様子に気を取られていたら、ふとカイジに髪を整えられた。
 数回撫でられ、それで離れていく手。

 だから今まで全く気にならずに受け入れていたのかと、気付く。
 アカギの手もカイジの手も、重みが不快になる前に離れていたから。

 天を含めた四人での麻雀は、とても楽しかった。
 アカギはもちろんだが、カイジも天も、そこらにいるギャンブラーよりはるかに格が上だ。
 ただどうしてもアカギからは点棒が取れないし、彼の読みは逸脱しすぎていて、同じタイミングでリーチになっても彼の方が上がりが早い。
 カイジと天も相当な力があるのにも拘らず、アカギを前にするとロン牌を吐き出してしまう。

 ちなみに天は手堅い打ち回しで、時々ふと大きな手をツモ上がる。
 カイジは捨て牌から手牌が読みづらく、見えにくい罠へと誘ってくる。
 が、それを全てかわしていくアカギ。

 半荘を五回やったが、全てアカギが3万点以上の差で勝った。
 遊びなのに容赦無いと騒ぐ天やカイジの反応も、見ていて面白かった。

 雀荘は24時までだったが、腹が減ってきたし天も嫁が待っているからと、22時で終わりにした。

 帰り道、アカギがいつもよりも楽しげに笑う。


「やっぱりしげるからは一度も点棒が取れなかったね」
「俺より先に、カイジさんや天さんが振り込んじゃうからじゃない?俺だけに狙いを定めていたわけでもないんだし」
「うぐっ。お、俺が弱いんじゃないぞ?お前らが強すぎるから……」


 わかっている。
 もっと…それこそ命を賭けるほどに大きなギャンブルをする時の方が、カイジは強いという事。
 アカギがそう言っているし、彼のしてきたギャンブルの話からも、事実だ。
 ただし、相手はカイジから見ての悪党に限る。
 自分達相手では無理だと言うのも、重々承知していた。

 それでもやっぱり、そこら辺にいる博徒よりは強い。


「カイジさんも強かったよ。とても楽しかった」
「しげるぅ…。お前は本当に良い子だな…!」


 抱き締められて、頭をぐりぐりされる。
 立ち止まってしまったというのにアカギは僅かに笑っているだけで先を急かそうとせず、カイジが数秒どころか一分以上経っても離れないけれど、何も言わない。

 これが不快にならないくらい、すっかりカイジに慣れてしまったというのもある。
 ただやっぱり、アカギにとって、カイジは本当に特別な人なのだなと感じた。










   おまけ



 家に帰ると、さっそく携帯を充電した。
 メールアドレスを決めてアカギとアドレスを交換し、カイジは夕飯を作っている最中だったので声を掛ける。


「カイジさん、カイジさんの携帯貸して。登録しちゃうから」
「ん?ほらよ」


 すんなりと渡してくれたから、何も気にせず受け取った携帯を開き、映った画面を見た。
 ……のだが。


「なに、これ」
「え?……あっ、や。そのっ、それは!」


 待ち受け画面に映っていたのは、アカギと―――自分だった。
 しかもくっついて一緒に眠っている写真。

 カイジの慌てぶりに、ソファに寝そべってタバコを吸っていたアカギもやってきて、携帯を覗く。


「これ、今日?」
「そうみたい」
「あらら、気付かなかった」
「け、消すなよ!?お前ら起こさないようにゆっくりゆっくりカーテン開けて、良い写真を撮れるまで何度も頑張ったんだからな!?俺の宝物なんだからな!!」


 いや、人の寝顔を宝物って……なんで俺まで。


「しげる、貸して」
「え?ちょ、アカギ何をっ!」


 喚きながらもコンロの前から動けないカイジを横目に、アカギは彼の携帯のボタンをカチカチ押す。
 何をするのかと思いきや。


「俺の方にも転送しとくから」
「ああ、なんだ。驚かすなよ…」


 はぁ……まぁ、いいや。





  ...end.


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ほのぼのな休日という雰囲気にしてみました。
アカギにとってもカイジにとっても、しげるは可愛い弟であれば良い。

2012.05.19
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